ペルソナ設計とは?PdM のためのペルソナ作成 6 ステップとテンプレート

ペルソナ設計とは?PdM のためのペルソナ作成 6 ステップとテンプレート

ペルソナ設計はプロダクト開発の羅針盤。PdM がペルソナを作成する 6 ステップ、必要な項目、マーケティング向けとの違い、よくある失敗パターンを解説します。

著者: Granty 編集部

この記事でわかること

  • ペルソナとは何か、PdM にとっての役割
  • マーケティング向けペルソナとプロダクト向けペルソナの違い
  • PdM がペルソナを作成する 6 ステップ
  • ペルソナに含めるべき項目とテンプレート
  • ペルソナがチーム内でワークするためのコツ
  • ペルソナ設計でよくある失敗パターン

ペルソナとは何か

ペルソナとは、プロダクトやサービスのターゲットとなる架空のユーザー像を、1 人の具体的な人物として詳細に描写したものです。名前・年齢・職業・ライフスタイル・課題・価値観などを設定し、チーム全員が「このユーザーに向けて作っている」と共通認識を持てるようにします。

PdM にとってペルソナは、プロダクト開発の羅針盤です。「この機能はペルソナの誰のどんな課題を解決するか?」と問い返すことで、開発判断がブレにくくなります。逆にペルソナが曖昧だと、「なんとなく便利そうだから」という理由で機能を追加してしまい、プロダクトが散漫になっていきます。

マーケティング向けペルソナと PdM のペルソナの違い

ペルソナという言葉はマーケティング領域でも使われますが、PdM が使うペルソナはやや性質が異なります。

観点マーケティング向けペルソナPdM 向けペルソナ
主な用途広告・セールス訴求・メッセージング機能設計・UX 設計・優先順位付け
重視する情報属性(年齢・職業・興味)・購入行動課題(ジョブ)・行動・現状の解決策
粒度複数のセグメントを網羅的にコアユーザー 1〜2 名に絞る
更新頻度キャンペーン単位で更新ユーザーリサーチに応じて継続更新

PdM のペルソナは、「どんな課題を抱えていて、なぜプロダクトを使う(雇う)のか」にフォーカスする点が特徴的です。属性情報よりも、行動とジョブ(解決したい課題)が中心です。これはジョブ理論の考え方とも整合します。

PdM がペルソナを作成する 6 ステップ

ステップ 1: ターゲットセグメントの仮決め

ペルソナを作る前に、どのセグメントを対象にするかを決めます。例えば「B2B SaaS の営業マネージャー」「30 代の副業希望者」「子育て中の共働き家庭」など、粗い粒度で構わないので対象範囲を決めます。複数セグメントを対象にする場合も、ペルソナを作るときはまず 1 つに絞り込んで進めます。

ステップ 2: 既存データの確認

いきなりインタビューに行く前に、まずは手元のデータを確認します。

  • 既存ユーザーの利用ログ(どんな画面が使われているか)
  • カスタマーサポートの問い合わせ内容
  • 営業からのフィードバック(どんな顧客が契約しているか)
  • NPS・アンケート結果

これらのデータから、対象セグメントの仮の特徴と課題を整理しておきます。

ステップ 3: ユーザーインタビューの実施

ペルソナ作成の核心は、実際のユーザーにインタビューすることです。5〜10 名を目安に、次のような質問を通じて情報を集めます。

  • 最近の 1 週間の典型的な 1 日の過ごし方
  • 現在、何に困っているか
  • その困り事を解決するために、今はどうしているか(現状の回避策・代替品)
  • プロダクトを初めて知ったきっかけ
  • 使い始めた理由と、使い続けている理由
  • 使うときに感じる不便や違和感

属性情報ではなく、行動と感情を引き出すことを意識します。ジョブ理論でも、ユーザーがプロダクトを「雇う」動機を掘り下げることが重要とされています。

ステップ 4: パターンの抽出

複数のインタビュー結果を並べて、共通点を探します。次の観点でパターンを見つけます。

  • 似た課題を抱えている人が複数いる
  • プロダクトを使う文脈(シチュエーション)が共通している
  • 同じ代替品を使っている(Excel・メモ帳・他社サービスなど)
  • 意思決定のトリガーが似ている

この段階で、対象セグメントが実は複数に分かれていることに気づくこともあります。その場合は、主要パターンごとに別ペルソナを作ります。

ステップ 5: ペルソナの言語化

抽出したパターンを、1 人の架空の人物に統合します。後述のテンプレートに沿って、名前・属性・課題・行動・価値観を記述します。重要なのは「この人が目の前にいたら、どんな表情で何に悩んでいるか」を想像できる具体性を持たせることです。

ステップ 6: チームでの共有と合意

作成したペルソナを、開発チーム・デザイナー・マーケ・営業・CS に共有します。レビューを受け、違和感がある部分は修正します。特に「営業が接している実際の顧客像」「CS が聞いている実際の課題」との整合性を確認することが重要です。

合意が取れたペルソナは、プロダクトの意思決定時に常に参照される共通言語になります。

ペルソナに含めるべき項目とテンプレート

基本テンプレート

## 名前(例: 田中 健一)

### 基本情報
- 年齢: 35 歳
- 職業: B2B SaaS の営業マネージャー(10 人チーム)
- 家族構成: 妻と子供 1 人
- 居住地: 東京 23 区内

### 現在の状況
- 役職: 入社 3 年目で昇進。初めての管理職
- 典型的な 1 日: 朝会 → 客先訪問 × 2 → 社内会議 → 報告書作成
- 使っているツール: Salesforce、Slack、Google カレンダー、Excel

### 抱えている課題(ジョブ)
- チームの数字管理が煩雑で、Excel と Salesforce を行き来している
- メンバーの稼働状況がリアルタイムで見えない
- 上司への報告資料作りに週 3 時間かかっている

### 現状の解決策(代替品)
- Excel でダッシュボードを手動作成
- 毎週金曜に個別ヒアリングで稼働確認
- Slack に手動でリマインドを送る

### 価値観・判断基準
- ツールの切り替えには慎重(既存運用を壊したくない)
- ROI を数字で説明できるものを好む
- チームメンバーの負担を増やさないことが最優先

### このプロダクトを雇う理由(ジョブ)
- Salesforce のデータを自動でまとめ、報告資料の時間を半減したい
- チームの稼働をリアルタイムで可視化したい

重要な項目の詳細

  • 抱えている課題(ジョブ): 最重要。ユーザーが現状で何に困っているか
  • 現状の解決策: プロダクトがない今、どう対処しているか。ここを知ると代替品が見える
  • 判断基準: プロダクト選定時に何を重視するか(価格・機能・サポート・既存ツールとの統合等)
  • 雇う理由: このプロダクトを使う決定的な理由

ペルソナがチーム内でワークするためのコツ

コツ 1: 1〜2 人に絞る

5 人も 10 人もペルソナを作ると、チームが迷います。メインペルソナ 1 人、サブ 1 人くらいに絞り、それ以外は「今回はスコープ外」と明示するのがおすすめです。

コツ 2: 具体的にする

抽象的な「30 代の働く女性」では、チームが違うイメージを持ちます。「田中さん」として、顔写真や具体的なシーンを添えて記述する方がチームの目線が揃います。

コツ 3: 定期的に更新する

ペルソナは一度作って終わりではなく、継続的なユーザーリサーチの結果を反映して更新します。「半年前のペルソナ」は現状と乖離している可能性があります。

コツ 4: 機能議論で必ず参照する

新機能の議論時に「これは田中さんのどの課題を解決するか?」と問うことが、ペルソナを活きた道具にする最大のコツです。ペルソナが議論で参照されなくなったら、それは機能しなくなったサインです。

ペルソナ設計でよくある失敗パターン

失敗 1: 属性だけ書いて課題が書かれていない

名前・年齢・職業・趣味だけのペルソナは、プロダクト設計の役に立ちません。最も重要なのは「抱えている課題(ジョブ)」と「現状の解決策」です。

失敗 2: チームで合意が取れていない

PdM が 1 人で作って勝手に使っていても、開発者やデザイナーの頭の中では別のユーザー像が動いていたら、結局意思決定がブレます。チーム全員で合意を取ることが必須です。

失敗 3: 実在ユーザーのコピーになっている

特定の 1 人のユーザーをそのままペルソナにすると、そのユーザーに最適化されすぎて他のユーザーを無視してしまいます。複数のインタビュー結果から共通パターンを抽出することが必要です。

失敗 4: 作ったきりで使われない

最も多い失敗パターン。機能議論の場で参照されず、Notion の奥に埋もれていくペルソナです。意思決定の場で強制的に参照する運用ルール(「ペルソナのどの課題を解決しますか?」を問うチェックリスト)を作ると防げます。

関連情報

ペルソナ設計は、ユーザーインタビュー要件定義と深く連動します。本マガジンの「ユーザーインタビューとは」「要件定義とは」、そしてジョブ理論を扱った「ジョブ理論とは」記事もあわせてご覧ください。

まとめ

ペルソナはプロダクト開発の羅針盤であり、チームで「誰のために作っているか」を共通認識化するための強力なツールです。重要なのは、属性ではなく課題(ジョブ)と行動を中心に書くこと、そしてチームで合意して日常的に参照することです。

Granty はプロダクトから求人を探せるサイトとして、ペルソナ設計を実務で使える PdM 環境のプロダクトを掲載しています。ユーザー理解に深く向き合える環境を探している方は、ぜひご活用ください。

テーマ: PdM スキル・学習・リサーチ

このテーマの全体像は「PdM スキル・学習・リサーチ」の総合ガイドで解説しています。

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