PMインタビュー

「AIを最も必要としている人にほど、AIが行き届いていない」セーフィー石川さんが語る、映像AIを現場に届けるプロダクトマネジメント

取材した企業セーフィー株式会社

「AIを最も必要としている人にほど、AIが行き届いていない」セーフィー石川さんが語る、映像AIを現場に届けるプロダクトマネジメント
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今回は、セーフィー株式会社で執行役員 企画本部 本部長を務める石川貴夫さんにお話を伺いました。

石川さんのキャリアは、一貫して"ITとリアルが交わる場所"にあります。新卒でメーカーにエンジニアとして入社し、複数のプロダクトを経験。DeNAではタクシーアプリの乗務員向けソリューションに携わり、事業統合後の現在のGO株式会社でも同じプロダクトに向き合い続けました。そして2021年、映像の汎用性の高さと解決できる課題の多さに大きな可能性を感じてセーフィーへ。現在はプロダクトマネジメント組織とデザイン組織の責任者として、プロダクト戦略と組織を統括しています。

セーフィーは「映像から未来をつくる」を掲げる、クラウド録画サービス市場シェアNo.1(※テクノ・システム・リサーチ社調べ『ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2025)』より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(54.3%) )の会社です。いま同社は「映像を見る」から「映像で現場の業務そのものを変える」フェーズに挑んでいます。その挑戦の根っこにあるのが、AIを最も必要としている人にほど、AIが行き届いていないという構造そのものへの問題意識です。

本記事では、

  • 日本中のカメラが毎秒の映像情報を活用できずに"捨てている"という現状の打開と、「防犯」の箱から映像を解放する挑戦
  • 「手軽に、簡単に、すぐに」を実現するためのプロダクトのこだわりと、現場の決裁範囲内で小さく導入・検証しスピーディーに拡大する、負荷・コストの低いオプション設計
  • 単なる精度向上だけではなく、業務フローやサポート体制まで含めて"設計する"という、AIプロダクト特有のプロダクトマネジメント

など、ハードウェアとAIを同時に扱うプロダクトづくりのリアルを深掘りしました。「ソフトウェアの枠を超えた総合格闘技」と語る石川さんのお話は、プロダクトマネージャーとして次の挑戦を考える方にとって、多くの気づきになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

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カメラを"つなぐだけ"から、映像で現場の業務を変えるフェーズへ

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── まずはじめに、自己紹介とセーフィーの事業について教えてください。

石川と申します。セーフィーで執行役員 企画本部本部長として、プロダクト戦略の立案および実行を推進しています。

セーフィーは「映像から未来をつくる」というビジョンの下、クラウド録画サービスを提供している会社です。クラウド録画サービス市場ではシェアNo.1という立ち位置でカメラをネットワークにつなぐだけで映像がクラウドに上がり、どこからでも、誰でも簡単にセキュアに見られる事業を展開しています。創業から12期目を迎え、いまは映像を「見る」ところからさらに映像を利活用して、現場の業務そのものを変える、省人化や生産性向上といった課題を解決するフェーズに入っています。

── 事業の全体像について、もう少し詳しく教えてください。

セーフィーはこれまで「現場DX」を推進してきましたが、現場DXをAIによってさらに加速させることで、現場をAIで変革していく、業務そのものを変革していくことに挑戦しています。

仕組みとしては、真ん中にクラウドプラットフォームがあります。我々はカメラを自社で製造するのではなく、パートナー企業様からカメラを仕入れて、そこに我々のファームウェアを入れることで、簡単にクラウドにつながるようにしています。カメラの映像がクラウドに上がり、それをセキュアに誰でも簡単に見られる。この映像を、これまでは記録や証跡、遠隔での状況確認など「ただ見る」だけだったところから、いろんな業界・業態の業務効率化に利活用していく。それがいま我々がやっていることです。

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── カメラに"アプリを追加する"仕組みがあると伺いましたが、どういうものでしょうか。

カメラ自体にエッジAIの機能を載せていて、AI機能をとても簡単にカメラへインストールすることができます。またそのAI自体も、いろんな種類のものを後から簡単にアップデートできる仕組みにしています。つまり、ひとつのハードウェアでさまざまなユースケースに対応できる。ゲーム機があって、そこに様々なゲームソフトをダウンロードして使うようなイメージですね。

たとえば「人数カウント」というAI-Appがあります。店舗では、これまでPOSデータくらいしか情報がなかったんですね。何人がお店に入ってきて、どのくらい購入に結びついたのか。Webサービスでは当たり前とされるファネル分析が、実店舗ではできなかった。それがこのアプリを入れると、何人が店に入り、どの通路を何人通って、最終的に何人が購買に至ったかが分かるようになります。人通りが一番多い場所はそのお店の一等地になりますから、そこに売りたい商材を並べて売上に貢献したり、通っていない通路が可視化されるのでレイアウトを変えて回遊を促したり。業務を改善するアプリケーションとして映像が使えるようになるんです。

ハードウェアからクラウド、現場まで。一体でつくるプロダクト

── ソフトウェアだけの会社と比べて、プロダクトづくりは何が違いますか?

やはり一番特徴的なのは、ハードウェアを扱っていることです。ハードウェアは一度出したら簡単に直せません。だから、数年先に必要になる処理能力を、いま決めなければいけない。AIの進化の速さとハードウェアの寿命との間にあるギャップは、常に大きな課題です。

どこまでエッジ側にAIを寄せて、どこからクラウドに任せるのか。この線引きは、原価・体験・電力・通信のすべてに効いてきます。さらに、世の中に出ているカメラは世代も性能もバラバラなので、「この機種では動く/動かない」という機種依存も発生します。ユーザーから見れば同じ「AI機能」なのに、体験が揃わない。そこをいかにきれいに揃えて一貫した顧客体験をつくるかも、難しいポイントです。

また、物理的なモノがあるということは、その設置・工事や故障時のサポート等も必要になってきます。末長く安心してお使いいただくためにサポートも充実させています。そういった物理層のインフラとしての側面も実はセーフィーの強みになっています。

捨てられる映像、届かないAI——現場には、まだ大きな余白がある

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── いま対峙されている業界で、"おかしいと思う当たり前"や"もっと良くなる余白"があれば教えてください。

大きく3つあると思っています。

1つ目は、映像の活用がまだ「事故が起きた後に見るもの」にとどまっていること。日本には膨大な数のカメラが設置されていますが、その多くは録るだけで、映像を見返すのは何か起きた後です。毎秒本当に膨大な映像が流れているのに、使われているのは事後の数分だけ。これほど豊富な情報を捨て続けている領域は、ほかにあまりないのではないでしょうか。非常にもったいない。「映像を見る」から「映像で現場の業務そのものを変革させる」ことへの転換の余地は、まだまだ手つかずで残っています。

2つ目は、AIを現場に入れる前提が、いまだに「大きな投資」になっていること。高度な映像AIを使うには、専用機器へのリプレイスや現地サーバーの設置工事が必要で、この前提のせいで、AIは体力や資本力のある企業の利用にとどまっていると感じます。でも、本当に深刻な人手不足の課題を抱えているのは現場の方々です。AIを最も必要としている人にほど、AIが行き届いていない。そもそも手が届かない。そういう現象が起きている。ここに改善の余地があると思っています。

3つ目は、店舗や工場、建設現場などで行われている仕事を、既存のソフトウェアがまだ十分に支えきれていないことです。オフィスワークのDXがAIによって急速に進む一方、現場では、紙やホワイトボード、目視による確認が、状況に応じて柔軟かつ確実に業務を進めるための大切な手段になっています。また、日々の業務を止めずに新しい仕組みを導入し、定着させることは簡単ではありません。

だからこそ、いまの仕事の進め方を大きく変えずに活用できる映像には、大きな可能性があります。カメラを「防犯」だけにとどめず、現場の状況把握や振り返り、業務改善にも活かすことで、現場で働く方々の負担を減らし、より安全で働きやすい環境づくりに貢献できる余地は、まだ大きいと感じています。

── オフィスと現場では、それほど状況が違うのですね。

そうですね。オフィス環境なら、パソコンで完結する仕事であれば、ソフトウェアによってどんどん進化できます。でも現場では、常にパソコンを持っているわけではない。スマホもあればインカムもあるし、タブレットもある。いろんなツールが使われてはいるけれど、まだ進化しきれていない。改善の余地が大きいと感じます。

「手軽に、簡単に、すぐに」で意思決定を現場のサイズに小さくする

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── そのなかで、セーフィーのプロダクトを通じて破壊したい"不公平"は何でしょうか?

現場で働く方々を、いかにエンパワーしていくか。ここがすごく重要だと思っています。2040年頃には労働力不足が深刻になり、約1,100万人の労働力が足りなくなると言われています。(出典:リクルートワークス研究所「未来予測2040」 )いまの労働人口から2割減の"八掛け社会"に向かうなかで、いまより少ない人数で、いまより生産性を高くしなければいけない。しかも現場で働く仕事には、有効求人倍率が6倍を超えるものもあります。この課題をテクノロジーでどう解決するかは、本当に喫緊の課題です。

この構造をずっと見てきたなかで、我々が選んだのは、専用の高価なシステムを入れるやり方ではありません。映像から必要な機能を簡単に追加するだけで、便利にしていく。「手軽に、簡単に、誰でもすぐに使える」という形にこだわり抜くことで解決していきたいと考えています。

── その「手軽に、簡単に、誰でもすぐに」を成立させるために、プロダクトづくりでこだわっているポイントは?

機能を増やすというより、利用するハードルをいかに下げるかが重要だと思っています。誰もがITリテラシーの高い環境は、なかなかレアです。だから、誰でもすぐに、簡単に使えることに徹底的にこだわる。たとえば我々のカメラは、設置して電源を入れたら、すぐにクラウドへの録画が勝手に始まります。設定はほぼ何もいらない。電源を挿したらすぐ使える、という形まで磨き上げることを強く意識しています。

現場にAIが届かないのも、結局は「試すまでのハードル」の問題なんです。専用機器へのリプレイスや、サーバーの設置工事。効果があるか分からないものに、数百万の投資判断なんて、そう簡単にはできませんよね。だから我々は、すでに現場にあるカメラの上にアプリをひとつ足すだけで動く形にする。工事もサーバーもシステム刷新も、大きな投資もいらない、という点を意識してアプローチしています。

月額のオプションをひとつ増やす程度まで小さくできれば、現場の決裁権で試せるようになる。これは、単に価格を安くするという話ではありません。導入を大きなプロジェクトにせず、小さく試し、効果を確認してから広げられる状態をつくることです。そうすれば効果がお客様に届くスピードも上がります。この制約に従って、プロダクトの設計を全部進めています。「安くする」というコスト面でも、カメラの中でここまで処理して、ここからはクラウドで処理する、という考え方で、クラウドだと処理コストがかかる部分をエッジ側に持ってきてトータルのコストを下げる。現実の利用用途に合わせてチューニングしていく。そこにこだわることで、お客様が簡単に、リーズナブルに、すぐに使える形を実現しています。

── そのこだわりは、組織にどう根付いているのでしょうか?

カルチャーとして染み付いているところがあります。我々が相対しているお客様は、本当に現場で働く方々です。めちゃくちゃシンプルで業務にフィットしないと、使われなくなるんです。そうすると結局、お客様に価値が届かない。「いかに簡単に使えるかがすごく大事だ」というのは、プロダクト関係者もセールスも、みんなが肌身に染みて分かっている。価値を届けるために、いかに摩擦をなくしてシンプルにしていくか。代表の佐渡島も含めて、会社全体で強くこだわっているところだと思います。

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記録にとどまらず、人の意思決定を支える存在へ

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── 現場の課題を目の当たりにして、"もどかしさ"や"胸が高鳴った瞬間"のような体験はありますか?

現場でお話を伺っていると、日々の業務を確実に回すために、現場で働く方々が多くの手間を引き受けていることに気づきます。人数を把握するために人が立つ。状況を確認するために足を運ぶ。紙に記録した内容を、事務所に戻ってからパソコンへ入力し直す。どれも現場を支えるために必要な業務ですが、そうした作業を技術で支えることができれば、現場の方々は、培ってきた経験や判断力を活かせる仕事に、もっと時間を使えるようになります。現場が持つ力を十分に活かしきれていない今の状況は、非常にもったいないと感じています。

高鳴った瞬間でいうと、見てきた課題が解決される瞬間ですね。いま取り組んでいるAIエージェント系の新しいプロダクトで、お客様の課題を聞きながら「このプロダクトを使うと、この作業時間が50%に減ります」という話が見えてきたりする。課題が解決される瞬間は、やっぱりテンションが上がります。

それから、カメラの中のAIが映像をその場で解析し、クラウドに送る前に「何が起きたのか」という結果を返す仕組みを見たとき、映像がただの「目」ではなく、人の意思決定を支える存在へと進化していく。「これは進化したぞ」と感じました。一度設置したハードウェアが、時間が経つほど価値を増していく。この仕組み自体が、それまで自分が扱ってきたプロダクトにはない感覚で、すごく面白いなと。

── 「ハードウェアが後から進化する」仕組みを、もう少し詳しく教えてください。

セーフィー 石川さんインタビューの様子

我々は「AIソリューションプラットフォーム」というものを提供しています。建設、小売、警備、道路など、いろんな業界の課題があるなかで、各現場から集まる映像データをプラットフォーム上で活用しやすくし、AI開発者と一緒になってAIプロダクトを簡単につくれる仕組みです。できたAIを現場のカメラにデプロイすれば、たとえば建設領域なら、必要な安全対策を講じていない人を検知して注意を促し、事故を減らす。店舗領域なら万引きの削減や無人店舗向けのアプリケーション。警備や、道路状況の可視化にも使われています。

これまでは「人を検知する」ひとつのモデルをつくるにも、学習に何ヶ月もかかっていました。それが最近はVLM(画像も扱える大規模モデル)も進化してきたので、いろんな種類の検知がずっと簡単にできるようになりました。エッジ側とクラウド側の処理をバランスよく分散させて、コストを最適化していく。まさにいま、そこに取り組んでいます。

しかも我々だけに閉じていません。お客様や、いろんなAIパートナー企業様とつなぎ合わせて、このプラットフォーム上で一緒に価値を創造していただく。みんなで価値をつくっていく"共創圏"のような取り組みも進めていて、それによっていろんな業界の課題を解決しやすくなるエコシステムを構築しています。

3年後、AIが現場を見守り、人の判断を支えている

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── 3年後、ユーザーの日常のどんなシーンがアップデートされていると思いますか?

たとえば店舗のスタッフなら、混雑や欠品を自分で見に行かなくても、必要なタイミングで知らせが来る。夜間に人が立ち入れば、映像とともに通知が飛ぶ。AIが日常的な見守りを支え、人は異変の見極めや、その後の対応に集中できるようになっていると思います。

複数の店舗を管理するエリアマネージャーなら、これまで現場に行って確認していたことが変わります。現場の映像・音声・センサー情報といった現場の一次情報を記録・解析できていれば 、「この店舗の売上が低かった原因は何だろう」とチャットで問い合わせると、原因が瞬時に提示される。現場の一次データを使ったエージェントは、今後どんどん進化していくと思っています。

建設の現場監督や施設管理者なら、「先週の土曜、この場所で何があったか」を知りたいとき、いまはまだ映像を巻き戻して探しています。それが、聞けばすぐに返ってくる。欲しい情報がすぐ手元に届き、意思決定がすぐできるようになる。また一部の業務が自律的に完了している状態もすぐに来ると思っています。

オフィスや施設の入退室では、我々は「Safie Entrance」というサービスを出していますが、カードをかざさなくてもシームレスに入室できて、誰がいつ入ったかは記録され、その瞬間の映像と紐づいている。安全のために少しの不便を我慢する、というトレードオフがなくなり、よりシームレスで、かつセキュアな世界ができてくると思います。

── その未来は、なぜセーフィーでないと実現できないのでしょうか?

セーフィー 石川さんインタビューの様子

まず、ハードウェアからクラウドまで自社で持っていることです。AIやソフトウェアだけの会社には、カメラという物理的なもの、現場とつなぐものがありません。一方でカメラメーカーには、クラウドやソフトウェアの運用が難しい。セーフィーにはカメラもクラウドもあり、その上のアプリケーションも提供している。さらに言えば、工事や設置といったフィジカルなサービスまでしっかり提供しています。ここまでを一気通貫で提供できることは、私たちならではの強みだと思います。

次に、すでに現場に置かれている膨大なカメラと、そこから流れる映像データ。いま39万台近くのカメラを運用していて、日々、数十ペタバイト規模の膨大な映像データが流れ込んでいます。映像AIはこれから、現場固有の環境に最適化されたAIへ進化させていくことが重要になります。膨大なデータがあるからこそインフラコストも最適化されるし、運用も安定していく。この運用力は、なかなか他社にはできないと思います。

そしてもうひとつが、共創です。我々はセーフィーベンチャーズというCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を運営しており、自社に閉じてつくるのではなく、社内外の開発者やステークホルダーとみんなで価値を創造しています。たとえば現場向け音声コミュニケーションプラットフォームを提供しているBONXさん。我々のカメラは現場の「目」ですが、現場の会話、つまり「耳」の部分は持っていません。BONXさんとセーフィーが連携することで、映像だけではない現場の情報がさらに加わり、「現場で何が起きたのか」が誰にでも分かりやすくなっていく。こうした協業で価値をつくれることも、他にはない強みだと思います。

── 率直に伺いますが、同じことができる競合はいないのでしょうか?

あまり聞いたことがないんですよね、実は。パーツパーツでは、もちろんいます。防犯カメラはコモディティ化していて競合はたくさんいますし、入退室管理だけを見てもいろんな競合がいる。業務改善のソフトウェア会社もいます。でも、防犯カメラもやり、現場のAI活用による業務改善までやり、カメラに加え、設置工事を含む運用インフラを持ち、さらにCVCで仲間づくりをしながら価値をスケールさせていく。そこまでトータルでやっている企業は、あまりいないのではないかと思っています。

AIは、現場に届き、使われて初めてプロダクトになる

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── その実現に向けて、いまどんなイシューがありますか?

1つは、先ほどお話ししたハードウェアを扱う難しさです。

2つ目が、AIをプロダクトにする難しさ。これは弊社だけでなく、どの会社もそうだと思うのですが、本当に難しいです。たとえば精度に関しては、単純に「上げる」というより「設計していく」ものだと思っています。誤検知が多ければ、通知は"狼少年"のように捉えられ、無視されてしまう。だからと言って感度を下げていくと、検知対象を見逃してしまうリスクが生じる。となると感度の設定をユーザーに委ねるのが正しいのか、業種ごとに最適値を持つべきなのかという話になってきますが、現場ごとに求められる答えが違うこともあるので、なかなか統一化も難しい。そこが挑戦のしどころです。

そして何より、できたAIプロダクトが「現場でちゃんと使われるものになっているか」が肝心です。現場の業務フローをいかに理解しているか、そこに対していかにフィットする形になっているか、ユーザーが予備知識なしでも使えるユーザビリティになっているか。そこまでしっかり落とし込まなければ、現場では使ってもらえません。業務フローやサポート体制まで含めて設計をしていくことが、非常に重要です。

さらにいま、AIの進化で映像理解の前提そのものが変わってきています。長い映像を要約する、自然言語で探す。この先もどんどん進化していく。その前提でプロダクトを設計しないといけない。たとえば、いまはAIの処理コストがすごく高かったとしても、使っているモデルは半年前と比べて何倍も性能が上がっている。1ヶ月で性能が倍になったなら、それはコストが半分になったのと同義だと思うんです。半年後、1年後には、いまは高いこのモデルももっと安くなるはず。そこまで想像しながらサービスを設計しないと、「めちゃくちゃ高くて誰も使わない」ものになってしまう。そこも含めて設計するのはすごく難しいし、いまだからこその醍醐味だと思っています。

最後が、事業として広げる難しさです。現場に届けるには、代理店や工事会社、サポートまで含めた仕組みをしっかりつくらないといけません。ソフトウェアだけでは難しい、現場に入り込んでやらなければいけない部分です。プロダクトマネージャーの守備範囲外に見えて、実はサービスを決めるうえで避けて通れないところなので、そこにしっかり入り込んでいくことが重要だと思っています。

── オペレーション設計には、PMとしてどこまで関わるのですか?

サービスにおいてオペレーションが重要なのであれば、プロダクトマネージャー自身がそこまで関与します。ただ、そこが得意ではない方もいます。そこで我々は新しい組織をつくりました。プロダクトオペレーションマネージャーという、プロダクトに必要なオペレーション設計の標準化・効率化をミッションに持ったチームです。そのチームの助けを得ながら、オペレーションをしっかり落とし込んでいく。ひとりがスーパーマンの能力を持つのは現実的ではないと思っているので、チームでケイパビリティを担保する形を意識しています。

ITとリアルが交わる場所で築いてきたキャリアとマイルール

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── どのようなキャリアパスで、現在に至るのですか?

新卒でメーカーに入社し、エンジニアとして複数のプロダクト開発やPMを経験しました。その後DeNAでいまのタクシーアプリの乗務員向けソリューションに携わりました。事業統合に伴ってGO株式会社へ転籍してからも、引き続き同じプロダクトでIT×リアルな領域に向き合ってきました。セーフィーには2021年にジョインしています。映像の汎用性の高さと、解決できる課題の多さに大きな可能性を感じたのが理由です。現在は、プロダクトマネジメント組織およびデザイン組織の責任者として、プロダクト戦略・組織を統括しています。

── プロダクトマネジメントや働くうえで、大切にしているマイルールはありますか?

顧客ファースト。社内外のあらゆる議論において、「それは本当に顧客にとっていいことなのか」を確かめる。原点に戻ることです。

市場を語る前に、一つの現場を語れるようになる。資料の上では、どんな市場も魅力的に見えます。でも、実際に使われるプロダクトは、業務の流れや役割分担、現場ごとのルールといった、一見細かな違いによって使われ方が大きく変わります。ユーザーの仕事を理解せずに立てた仮説は、たいていうまくいきません。

決める。そして、なぜそう決めたかを残す。情報が揃うのを待っていたら、この領域では何も決まりません。だから早く決める。ただし、前提とともに残しておけば、前提が崩れたときに堂々とひっくり返せる。決断の速さは、ひっくり返せる準備とセットで初めて成立すると思っています。

── PMにおすすめの本を教えてください。

『INSPIRED』『プロダクトマネジメントのすべて』『解像度を上げる』『イシューからはじめよ』『ジョブ理論』『イノベーションのジレンマ』『ハード・シングス』です。

求職者へのメッセージ「現実世界の課題を、自分の手で」

セーフィー 石川さんインタビューの様子

── 最後に、この記事を読んでいる現役のプロダクトマネージャーや、プロダクトづくりに関わる方へメッセージをお願いします。

私たちが挑んでいるのは、ソフトの枠を超えた、AIやハードウェア、オペレーション、そして強力なパートナーシップを総動員して戦う、本当に総合格闘技のようなプロダクトづくりです。

現実世界の課題を自分の手で解決したい。社会のインフラをつくる圧倒的な手応えが欲しい。そんな野心と情熱を持った方を、私たちは本気で探しています。未来を共につくる仲間を募集していますので、私たちと一緒に、次世代の社会インフラをつくり上げませんか。ぜひご検討いただければと思います。

セーフィーで一緒に働きませんか?

セーフィー 石川さんインタビューの様子

石川さんが語ってくださった「映像で現場の業務そのものを変える」という挑戦に共感した方へ。私たちGrantyエージェントでは、転職エージェントサービスを通じて、セーフィー社のPdMポジションをご紹介できます。

ハードウェアからクラウド、AIまでを一気通貫で扱う"総合格闘技"のプロダクトづくりに挑みたい方は、ぜひ一度Grantyエージェントにご相談ください。

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